第18回愛媛社会科・主権者教育研究会成果報告

第18回愛媛社会科・主権者教育研究会成果報告

2023年3月26日(火)に第18回愛媛社会科・主権者教育研究会が愛媛大学教育学部にて開催されました。今回のメインテーマは、「附属学校の研究成果を公立学校の授業に活かすための視点や方法」でした。当日は、愛媛大学教育学部附属小学校の豊田高広教諭、附属中学校江角紀行教諭、高橋祐貴教諭に実践報告をしていただいたうえで、テーマについてグループで意見交換を行いました。(オンラインを含め25名の方に参加いただきました。)

まず、豊田先生より附属小学校の研究テーマである「探究的な学び」について理論的な説明が行われ、第三学年「つなげ!松山の昔・今・そして未来へ」の実践について報告がありました。

解決困難な「ややこしさ」に対峙できる子どもの育成を目指し、社会の変化について松山市のまちづくりに関わる人たちの工夫や努力に着目して捉えさせることを目指している単元モデルが提案されました。

(豊田先生ご発表の様子)

つぎに、江角先生より附属中学校の研究テーマである「エージェンシー」について説明が行われ、社会科では主体的に社会の課題解決に関わろうとする子どもの育成を目指すことを目標として設定していると報告がありました。

そのうえで、特に「主体的に学習に取り組む態度」の育成を目指すために「認知」=自己調整と「協働」=論理的思考を重視した指導が重要であり、その具体を「長野の公園問題」を取り扱った地方自治の単元モデルに基づいて説明していただきました。

(江角先生ご発表の様子)

そして、附属中学校の高橋先生よりエージェンシー育成を目指す社会科授業について、地理的分野の地球的課題解決を目指す単元モデルに基づいて説明がなされました。高橋先生は、エージェンシー育成のためには、「今の社会を変革する必要性の実感」、「実現に必要な視点の広がりや深まり」の二点が指導のポイントになると捉え、このような指導を継続的に行うことがよりよい社会や自己の姿を構想する力の育成=エージェンシーの育成につながると提案されました。また、生成AIの活用事例についても紹介され、①「思考の整理」→「新たな視点の提供」、②「共に考える立場」や「反対する立場」という多角的な立場設定を通した議論の活性化というポイントがあると主張されていました。

(高橋先生ご発表の様子)

報告後には、グループにわかれて「報告を聞いて思ったこと・感じたこと」、「附属学校の研究成果を公立学校の授業づくりに活かすために必要なこと」について意見交換を行いました。

参加者の主な意見は以下の通りです。

〇どういう教材を使っているのか、どのようなツールを使っているのかを紹介することが附属学校の意義だと考えた。附属と公立では生徒が違うからという認識を変える必要があるが、それ以外の点として、方法を知りエッセンスを取り入れることが重要ではないかと考えた。

〇附属学校の実践は公立学校でもできると思う。中学校でも小学校でも具体を通して学ぶことはできる。授業実践を行うなかでどこまで子どもに求めるのかが教師はなにができるかなどゴールを明確化することが大切であると思った。

〇附属学校でその先生しかできないこともありではないか。ただ、公立学校では無理と考える方もおられるので、意識改革も必要であると考える。

〇附属学校だから、附属学校の生徒だからできるという考えは克服することが大切である。授業実践を行う過程や教師にどのような能力が求められるのかを共有することが大切である。教師が持つ能力がどのような過程で見についたのかを示すことで教師教育にも生かせるのではないか。

(意見交換の様子)

優れた実践から何を学び、どのように自分自身の授業実践に活かすのかという点が、実践家の課題となっている今日において、この課題について意見交換する機会を定期的につくることの重要性を再認識することができました。また、このような学びの場を、オフィシャルな労働時間に位置付ける制度設計も必要だと考えました。

平日にもかかわらず、現職の先生方も多数ご参加いただき本当にうれしく思いました。関係者の皆様、ありがとうございました。