令和4年度社会教育施設の活用を通した防災教育プログラムの提案(3月23日)

令和4年度社会教育施設の活用を通した防災教育プログラムの提案(3月23日)

 2023年3月23日(木)に西予市内の社会教育施設の活用を通した防災教育プログラム開発に関する成果報告会を行いました。本取組は、西予市内の社会教育施設の活用を通した防災教育プログラムを西予市復興支援室などの関係者と連携することを通して開発することを目指すものです。実施方法として①西予市内の社会教育施設(災害伝承展示室と四国西予ジオミュージアム)の見学・訪問、②①を活かした防災教育プログラムの開発・検討、③成果物としてのポスター制作という流れで進めていきました。

 今回は、防災教育プログラムの開発にあたって、井上昌善研究室のゼミ生が二つのグループに分かれて取り組みました。その際に、学習プログラムの中で自然災害の恐怖心や災害が想定される地域への失望感が先行しないことを意識するようにしました。

【グループAの報告の様子】

【グループAのポスター】

 Aグループのプログラムは、自然災害が発生するメカニズムを適切に理解し自助・共助・公助の視点から自他の命を守る「防災」の在り方と、将来起こり得る自然災害を予測しこれまでの自然災害の事例や被災の経験から災害を減らす「減災」の両方に着目している点に特質があります。災害発生後に使われる避難ルートや避難所での生活は多様な立場の人が想定されているのかといった私達が「みんなで考えるべき」問題を探し、考え、そこで考えたことを避難所計画に活かし、地域社会に提案するという構成になっています。

【グループBの報告の様子】

【グループBのポスター】

 Bグループのプログラムでは、ジオミュージアムと災害伝承展示室をいかに結びつけるかを考えました。子供達が発見した魅力や気づいたことと、施設側が伝えたいことにずれがある可能性に着目し、それを共有することで「互学互習」の実現を目指しています。また、最終的に考えさせたいテーマについて災害計画の他に、生活している西予市という地域において特に自分自身や自分たちがまもりたいと考えるものを判断し、それを実現していくための行動計画を考えるというテーマについても提案されました。

【意見交換の様子】

 両グループの報告の後、西予市復興支援室の方や四国西予ジオミュージアムの方との意見交換が行われました。

 意見交換では「子供達というのはどのくらいの世代を想定しているのか」、「時間数としてはどれくらいを考えているのか」などのご質問を頂きました。Aグループでは長期的に行うことを想定した一方で、Bグループでは短期間での実践を想定していました。それぞれのプログラムに応じて実現性のある時間数を設定しており、グループによって考え方が異なることが分かりました。ジオミュージアムの展示物は地球のでき方など、日常生活では気付きにくく専門的で高度な内容となあっていることから、ガイドの方の役割が重要になること、展示物の内容などについても訪問者の意見をふまえて検討することが必要であると感じました。前者については、今現在西予市の災害伝承展示室においても語り部の方がガイド役となり、展示物の解説などが行われているようです。このようなガイド役の方から説明を受けることで、施設内の展示物に関する情報を深く知ることができるようになります。しかしそのためには、語り部自身がさらなる勉強に励まなければならないとおっしゃられていました。

 西予市では、地域の魅力を子どもたちに伝えるために7年前にパワーポイントの資料を作成し、学校に配ったことがあるそうです。しかし、どのように活用されているかはわからないようです。学校が子供達に学ばせたいことと、西予市の社会教育施設の関係者が伝えたいことをすり合わせる機会の必要性やそれをふまえて子どもの資質・能力育成につながる教育プログラムの開発を推進することの重要性を学びました。

【本取組の成果と課題】

 本取組では、地域の社会教育施設の活用方法、多世代型防災教育プログラム、防災教育推進につながる関係機関の連携の在り方の提案を行うことができました。課題としては提案したプログラムを実践し、効果を実証すること、他の施設とのつながりを踏まえて新たな学習モデルの提案を行っていくことです。

 西予市復興支援室や四国西予ジオミュージアムの関係者の皆様におかれましては、本教育プログラムに対して多くのご支援ご教育を頂きました。

心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

【付記】

 本取組は、愛媛大学地域協働教育研究支援事業「西予市内の社会教育施設の活用を通した防災教育プログラムの開発(研究代表者:愛媛大学教育学部井上昌善)」の研究助成を受けて実施したものです。