絵本の活用を通して社会問題について考える主権者教育の授業実践報告(今治北高校大三島分校の出前授業)
2023年9月29日(金)に愛媛県立今治北高等学校大三島分校で絵本を活用した主権者教育出前授業を実施させていただきました。高校一年生では、『Red あかくてあおいクレヨンのはなし』という絵本を活用してジェンダー問題について考える主権者教育の授業を行いました。高校二年生、高校三年生では、『どうぶつせんきょ』という絵本を活用して政治参加の方法について考える主権者教育の授業を行いました。
【当日の様子:1年生】
【当日の様子:2年生】
【当日の様子:3年生】
<出前授業を終えて>
〇絵本『Red あかくてあおいクレヨンのはなし』を教材に、高校1年生を対象とした授業を実践しました。絵本の内容と実社会の問題を関連づけるために、ジェンダーの偏った見方が見られるCMを教材として授業を展開しました。子どもたちは、ジェンダー観が形成されてきた過程を踏まえて、それが社会問題となり得る理由を基本的人権の保障と関連付けながら捉えていきました。そして、社会の造り手である主権者にはどのような力が求められるのかについて活発に意見交換を行いました。絵本の内容を契機に実社会の問題や主権者に求められる資質・能力について、子どもたちと一緒に考えることができ充実した授業になりました。
〇今回の『どうぶつせんきょ』という絵本を活用した主権者教育授業では、高校生を対象として、授業実践することが初めてであったため、学びの多いものとなりました。今回の『どうぶつせんきょ』を用いた主権者教育授業のねらいとしては、「選挙権を有さない18 歳未満のこどもたちにも選挙や政治と関わる方法があることに気づかせ、これから求められる政治参加の在り方を考えることができる」ことでした。絵本では、市民たちが森のリーダーであるライオンの身勝手な行動に不満を持ち、デモ活動を起こしたり、選挙という仕組みを導入するという市民行動を起こしたりすることにより、市民が理想とする社会を実現することができていました。この絵本を教材化して、市民行動の大切さ、意見を表明することの重要性に気付かせたいと考えました。実践をしてみるとまだまだ反省点は多くあるのですが、まとめの段階で「わたしたちが政治参加する上で、大切なことは何か」という問いを考えさせたときに、「自分たちの意志を表明していくことが、社会をより良くすることにつながる」、「自分たちが政治参加しないと、国が成り立たなくなる」など、自分たちが政治に参加し関わることの大切さに気付いている生徒が多く見られました。また、「大三島は若者が少なく、高齢化が非常に進んでいる地域であるから、若者である私たちが行動していくことで大三島が誰にとっても住みやすい地域になる」など、自分たちの地域課題・現状と結び付けて考えることができている生徒も見受けられました。
今後の展望としては、授業で考えた問題と自分が生活している地域で生じている問題とを結び付けて考えることができる力を育むことができる授業の在り方を検討していくことです。そのためには、生徒が身近に考えられる事例を取り扱ったり生徒が実際に地域の課題への関り方について理解を深める学習活動を設定したりすることが重要だと考えます。