第16回愛媛社会科・主権者教育研究会(成果報告)

第16回愛媛社会科・主権者教育研究会(成果報告)

2023年9月23日(土)9時30分~11時に@オンラインにて、第16回愛媛社会科・主権者教育研究会が行われました。今回は、東京都府中市立府中第四中学校教諭の岩渕公輔先生に、「中学校社会科公民的分野における外部人材と連携した授業実践」について、以下の①~③の視点をふまえてご講演をいただきました。

①授業づくりと実践の具体について
②評価の具体について
③弁護士と連携することの教育的意義や留意点について

そのうえで、外部連携を通した社会科授業づくりと評価をさらに推進するために必要になること(外部連携の方法や課題など、子どもが成長している姿とは!?それを実現するために必要な指導とは!?)を参加者同士による意見交換を通して考えていきました。

【講演の様子】

【意見交換の様子】

 なぜ、外部人材を活用した授業づくりが重要なのでしょうか。端的に言えば、社会的課題解決の担い手として必要な資質・能力を実質的に育成することができるからと言えるでしょう。では、そのための外部人材の有効な活用方法のあり方とはどのようになるのでしょうか。

 岩渕先生のご発表は、法教育の授業モデルに基づいて効果的な外部人材の活用方法を提案するものであり、前述の問いを考えるための多くのヒントを得ることができました。特に子どもだけではなく、教師自身に与える影響についても実践に基づいた考察がなされており、教師の成長(教師教育)という点においても多くのことに気付かされました。

 本日は、日本弁護士会市民のための法教育委員会の委員弁護士の方々も多数ご参加いただきました。ご参加いただいた皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

【主な参加者のご意見(「特に印象に残っていること」を含む。)】

・カリキュラムの位置付けや内容などをお伺いし、当会での活動にも活かしていきたいと感じました。
・立場性について、積極的中立性を意識することで議論全体を中立に導くということが、今後の実践への参考になりました。
・弁護士と連携した授業は安易にできるものではないと感じていたが、弁護士さん方の実際のお声を聞いて、挑戦できる環境が整っているのであれば将来実践してみたいなと感じた。
・外部人材との連携によって教師の授業観が変容すること。新しい教材開発につながり、教師教育においても重要な視点だと思いました。
・弁護士が外部人材として参加する際、価値対立、利害調整、法・ルールの創造・変更について生徒に学んでもらう授業作りが求められていることがわかりました。
・外部人材の方と協力する際には、授業の目的を明確にしたうえでどのような働きかけをしてもらうか、どのような授業展開にするか考える必要があること。
・弁護士が入ることの意義を改めて整理していただけたこと、また他法曹との比較という視点は新鮮でした。
・社会科は、子どもたちに教材をどれだけ「自分ごと」として落とし込めるかが要になっているということ。
・立場性を意識した議論が、子どもの自己調整を促し、より深い学習を実現すること。
・弁護士と連携するからこそ(教員とは異なる存在がいるからこそ)、弁護士・教員それぞれが自分の役割に徹する(その役割も最適なものだと発表を聞いて考えた)ことができると考えた。言語化できないが、外部人材の中でも、弁護士との連携でいえる特質だと捉えた。
・中心になる実践が様々な準備やカリキュラムを検討しているとはいえ、2時間でまとまっていて、授業のねらいや生徒の活動の意図が明確だったことと、弁護士の方の参加があり、弁護士の方の思いを聴くことができて、現場の先生方が連携していくハードルを下げることができるのではないかと感じたこと。
・「法を変える」「法をつくる」「法を使う」という3つの視点を分野レベルで実践されていた点。社会科教育において、外部人材を活用するからこそ授業に具現化できるのではないかという可能性を実感した。
・どうしても実際の判例を扱うことにとらわれてしまいそうなのですが、実際に検察官や弁護士の方と話をすることで、その生徒や目標に適した具体的事例を選択したり、新しく考えたりすることができることを知ることができ、これも連携することのよさなのではないかと考えることができました。