「ホリバタプロジェクト」成果報告

「ホリバタプロジェクト」成果報告

2021年3月25日に宇和島市立中央公民館と共催(企画協力:NPO法人 NEXT CONEXION)で中高校生と大学生がそれぞれの学びについて意見交換を行う交流イベント「ホリバタプロジェクト」を開催しました。当日は、20名以上の中学高校生・大学生が参加し、対話を通してそれぞれの学びについて考えを深めました。

アンケート結果

【参加した中学生・高校生の主な意見】

・普段の悩みなどを解決できたので活かしていきたいです。(中学3年生)

・普段大学生との関わりが少なく、今回のようにお話を聞くことが出来て良かったです。「大学」は、私からしたら遠い存在なのかなと思っていたけれど、全然そんな事ないんだなと感じることが出来ました。また、私自身、ボランティア団体を立ち上げる身として、これから行なっていく活動についても大学生の方にアドバイスをいただき、より良い活動ができるのではないのかなと思っています。(中学3年生)

・普段大学生と会話をする機会がないがないので、貴重な体験が出来ました。ありがとうございました。(高校1年生)

・大学生のリアルが聞けました。これからの高校一年間を大切にして。大学生になりたいと思いました。勉強を頑張ろうと思えることができてよかったです!(高校2年生)

・周りの人との成績の差や成績が伸び悩んでいたことをあり、勉強のモチベーションが下がっていたのですが、モチベーションの保ち方を学べて今後の勉強にいかしていきたいと思いました。また、改めて大学に行きたいと強く思うことができました。とても貴重な経験をありがとうございました。(高校2年生)

・大学生活は謎に包まれていて、分からないことだらけでしたが、たくさん質問できて先輩方のリアルな声が聞けたので、不安だった気持ち減って、大学生活楽しみ!と思えるようになりました。これから頑張ります!ありがとうございました。(高校3年生)

・あるようで無かった機会なので為になりました。大学生の方々のお話を聞いて、大学に入学するにあたっての不安が和らいだとともに、実りのある大学生活にしようという決意の場にもなりました。(高校3年生)

【参加した大学生・大学院生の主な意見】

・高校生、中学生と話すことで自分たちの学んできたことの整理にも繋がったと思う。そして、自分のこれからへのモチベーションも向上させることができた。(大学生)

・大学生としても他の大学生のお話を聞けて、参考になったり、自分ならどうするかなどを考えたりできた。また参加したいし、松山でも実施したい。(大学生)

・高校や中学生、大学に入る子たちがどういった悩みがあるのかを知ることができたのも、自分がどんな大学生活を過ごしてきたのかを伝えることができたのもとてもよかった。(大学生)

・初々しくて懐かしい気持ちになった。もっと分かりやすく説明してあげたかったなと思った。この繋がりを大切にしたいなあと思った。(大学生)

・思っていたより話が盛り上がって良かった。高校生も日々の不安を解消できたようで、このような大学生と話す場は大切にすべきだと思った。これからも継続して取り組めたらいいなと感じた。(大学院生)

・高校と大学をスムーズにつなぐ役割として、今後も是非続けていきたいと思いました。(大学院生)

(企画・運営者より)

 宇和島市立中央公民館の市民協働センター事業(通称:ホリバタ事業)は、中学生~30代の、①興味関心を広げる、②地域や社会を知る、③市内外の人と接する企画を通じ、そのチャレンジを応援する事業です。①~③の全てを網羅する今回の企画は、中高生にとっての「現在地と未来を繋ぐ歩みのきっかけ」になることを目指していました。
 中高生と大学生が対話という協働によって創り上げた2時間。貴重な機会として、中高生にとってのきっかけづくりができたと感じています。また、大学生にとっても活動意欲の向上等につながる有意義なものとなりました。企画が参加者全員に貢献できることは、その持続可能性にも資するといえます。続けてほしいという声を大切にしながら、課題の改善など、今後に向けて丁寧な検討を重ねていきたいと考えています。
 本企画の実現は、シティズンシップラボ(井上昌善研究室)と、NPO法人 NEXT CONEXIONのお力によるものです。ご参加いただいた学生・中高生の皆さんに、心から感謝申し上げます。またお逢いしましょう。
(宇和島市立中央公民館 西尾祥之)


 「サービスの提供」など形式的な場を除けば、高校生が大学生と話す機会がないのと同じように、大学生が高校生と話す機会も少ないと感じています。今回の企画は、自分たちが過ごしている「当たり前の大学生活」を見つめなおすという点において、大学生にとっても学びの意義が大きかったのではないかと考えています。
 私たちが取り組む「シティズンシップ教育」「主権者教育」で最も大事にすべきポイントは「対話」とそこから生まれる「学びあい」です。実際、大学生と準備を進めながら考えた「高校生が聞きたいと思うこと」とホリバタ当日に出た質問とには、多少のずれがあり、私たちも高校生が何を考え、どのような不安を抱えているかに改めて気づかされた点が多くありました。
 こういった事象は、今回に限らず、社会の中にも多々あると思います。本プロジェクトを通して、本来取り組むべきこれらの教育の本質が見えたのではと考えています。宇和島発のこのような企画が、ぜひ「シティズンシップ教育・主権者教育」のベースになれるように、これからも数を重ねていきたいと思います。ありがとうございました。 
(NEXT CONEXION 越智大貴)


 現状、多くの人が小学校から高校を卒業するまでのほとんどの時間を「学校」または「家庭」という2つの「社会」「カルチャー」、そして限られた範囲の人との限定的な「関係性」のなかで過ごします。先生や保護者とのタテの関係、同級生や兄弟とのヨコの関係。タテは指示と評価の関係、ヨコは同じ時期に同じ経験をした同質の集団の関係です。
 指示評価でもなく、同質でもない。異なる社会、異なるカルチャー、異なる年齢、異なる考えとのナナメの関係。新たな関係性との出会いと対話が、気づきと創発を生み出します。自分を相対化し、自分を再発見していたかもしれない、そのようにも感じました。宇和島の中高生の成長を大いに促し、自覚を高める契機になっていたと思います。プロジェクトが持つシティズンシップの醸成に向けた可能性も強く感じました。
 今回、このような機会をくださった「シティズンシップラボ」の井上先生とNPO法人「NEXT CONEXION」の越智様ほか皆さまにお礼と感謝を申し上げます。
(宇和島市教育委員会 金瀬聡)


 本プロジェクトに参加した多くの中高校生は、大学生との対話を通して気付いたことや考えたことを今後の生活にいかすことができると感じてくれていました。また、大学生もこれまで経験したことを中高校生に還元することによって、他者に働きかけることの意味や意義を感じていました。高大など異校種の学校現場や関係機関と連携する取り組みの推進が目指される今日において、参加した全ての人が、活動に対する意味や意義を見出せる連携の在り方を模索することが重要だと思います。本プロジェクトは、そのためのヒントを与えてくれているように感じます。つまり、そこに集う人々の問題意識が共有され、解決の見通しを持つことができる公共空間を創出することが、望ましい連携を具現化するためには必要といえるでしょう。
 本プロジェクトの開催にあたりご尽力いただいた宇和島市立中央公民館及び宇和島市教育委員会の皆様、NEXT CONEXIONの皆様、学生の皆様、関係の全ての方々に心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
(愛媛大学教育学部社会科教育講座 井上昌善)