第2回主権者教育研修会報告

第2回主権者教育研修会報告

2020年8月22日に今年度二回目の主権者教育研修会を行いました。

当日は、蒸し暑い中にもかかわらず約30名の教育関係者(小・中・高等学校の先生、NPOの関係者、学生等)が参加してくださいました。今回は、松山市立味生第二小学校(前松山市立三津浜中学校)の髙岡遼介教諭・愛媛大学教育学部の井上昌善講師に「地域の安全に着目した教育プログラムの開発―中学校社会科地理的分野単元「三津浜安全プロジェクト」を事例として―」、愛媛大学社会共創学部の松村暢彦教授に「安全教育に関する授業作りのポイントー高等学校を中心とする授業開発を事例としてー」についての報告をしていただきました。

松山市立味生第二小学校の高岡遼介教諭
愛媛大学社会共創学部の松村暢彦教授

さらに、上記の報告を聞いた上で、愛媛大学教育学部・教職大学院の学生に司会をしてもらい、参加者同士でディスカッションを行い、「地域の安全」や「外部人材との連携」に着目した主権者教育の授業作りなどについて意見交換を行いました。

今回の研修に参加してくださった方からは多くのご意見をいただきました。以下、紹介いたします。

【本研修会で学んだことの中で特に印象に残ったことは?】

・地域とのつながりをいかにひろめ、深めていくか、ということです。ステークホルダーと協調する、というのが苦手な先生方も多いと思うので、何かいい方法があれば、と思います。(研修センターの先生)

・地域に役に立つ生徒の育成がまず、求められていると感じた。実践発表と講義を聞いて、身近な問題に関わり、自分達にも社会に対し、何かできるんだと生徒自身に感じさせられるとおもったから。(中学校の先生)

・外部との連携において、大学機関等に連携先の間に入ってもらうということ。実際の学校現場での状況を鑑みると一つのモデルケースとしてさまざまな授業や学校行事等でも応用できる手法であると感じたため。(高校の先生)

・どんなことでも、継続することが大変だと感じた。防災教育や各単元で、新しく作られたことを継続するためにどうすればいいか、答えが出ていないから。(小学校の先生)

・質の高い公共空間をいかに作っていくか、そこに生徒がどう関わっていくかを考えるという視点が面白いと感じた。(大学院2回生の学生さん)

・クロスロードでの思考について。子どもたちに双方の言い分を伝え合わせるだけでも、「対立」の「調整」を図るための端緒になり得ると考えた。(多様な言い分があることを知れば、その意見に対する寛容の精神も出てくるのでは)(学部3回生の学生さん)

・答えのない課題が印象に残ってます。私たち教育現場の立場に立つ人や専門知識がある人たちが無意識で答えへと導く形にならないように意識したいと思いました。(学部3回生の学生さん)

・公共的感性として、私自身の問題と私たちの問題とをつなげて考える必要性を認識させられた。また、外部との連携によって実現する実践があることも考えた。(学部3回生の学生さん)

・一つの授業で完結させるのではなく、学校全体で今後も取り組みとして続けていけるようにしていくことが大切であるということです。学びの連続性から子どもにとって深い学びとなる可能性があることや、今後地域と連携した新たな教育活動を行いたいと思った際にも協力を得やすいことなどが考えられるからです。(学部3回生の学生さん)

・三津浜中学校での授業の実践前と、実践後の意見の変化にとても驚いた。通常の座学の授業だけでは気づかないこと、考えづらい深い学びにつながっていたと思う。自分のことや、目の前の利点をただ受け入れるのではなく、他者からの視点や、そこから見える課題まで考えることができていることがいいと思った。(学部1回生の学生さん)

ディスカッションの様子

【今後の授業作りにいかしていきたいことは?】

・学校現場では業務が多いため難しいというお話もあったので、地域とのつながりをいかに創出するかは考え続けたい。(大学院2回生の学生さん)

・学校外部の地域との関わりはあればあるほど良いということ。それは授業づくりの幅が広がるというだけでなく、自分=教員を助けてくれる人が増えるということであると考える。連携のためにそれぞれの主体がしたいこと(しなければならないこと)を提示し、共有することが示されていたが、教員は、「したいこと」として「授業づくりのために助けて欲しい」というおもいを、率直に伝えてもよいのではないかと思った。(学部3回生の学生さん)

・学校現場だけではできないことを、外のNPOや、教育機関から実践できるかを考える必要があると思う。学校内部から授業実践を行うことは難しいという意見が多かったので、外の機関が作った授業をどのように学校に落としていけるかが課題だと思う。(学部1回生の学生さん)

・実際に地域に足を運ぶこと。さまざまな方々と関わることで新たな学びや課題も浮き彫りになり、より生徒の心を揺さぶる授業ができるのではないかと思った。(高校の先生)

ディスカッションの様子②(ホワイトボード)

【本研修会に期待すること】

・地歴・公民科だけでなくさまざまな教科の教員も含めて議論を交わす場になること。今後も、異校種別で情報交換をする場にもなってほしいと思う。(高校の先生)

・井上先生の人脈を生かして、これからも大学、中学校、地域を結ぶファシリテーターとして頑張ってください(^_−)(中学校の先生)

・SDGs  今、話題の1つにあげられると思うが、どのように授業や学校で取り組むことができるのか。(小学校の先生)

全体報告の様子

今回の研修会を通して、学校現場における地域社会と連携した主権者教育の意義を発信する必要性、「社会に開かれた教育課程」を実現できる教員養成のカリキュラムの重要性を改めて感じました。引き続き関係者の皆様と主権者教育のあり方について考えていきたいと思います。

第3回主権者教育研修会については10月31日の実施を予定しております!
次回の参加もお待ちしております。

*当日の資料提供をご希望の方は、以下のアドレスまでメールにてお知らせください。
inoue.masayoshi.xk@ehime-u.ac.jp
愛媛大学教育学部井上昌善(シティズンシップラボ事務局)